ベア・コール・スプレッド

ファガ?
またなんだか難しい横文字グワね

先日、ブル・プット・スプレッドの説明を書いたけど、今回はそのコール側のベア・コール・スプレッドの説明を書くよ。

ベアって何グワ?

ベアは熊(クマ)のこと。

クマをコール?クマを呼び出すグワか?
危ないグワよ!

大丈夫、プーさんだから。
(といって、赤カブト(漫画: 銀牙 -流れ星 銀- )を呼び出す流星カモであった)※ネタ分かる人少なそう
クレジットスプレッド
ベア・コール・スプレッドもブル・プット・スプレッドと同じくクレジットスプレッドです。
おさらいですが、クレジット( Credit )とは前回のアヒすけとの会話であげたとおり、お金の貸し付けのこと。そしてスプレッド(Spread)とは金融用語では売値と買値の差のことです。
ということで、クレジットスプレッドとは売値と買値の差し引きの結果、お金の貸し付けとなる(先にお金を受け取ることができる)オプションの買いと売りの組み合わせのことです。
コールオプション売り:1枚(100円)
コールオプション買い:1枚(70円)
⇒100円受取りで70円支払い
⇒30円手元に残る
手元にお金が残ることを「クレジット」という。
ちなみに逆は「デビット」という。
クレジットスプレッドは、先にお金を受け取るオプションの買いと売りの組み合わせなので、いくつかの種類があります。
今回はその中でも売りと買いが同じ枚数で、同じ満期日のコール側で組むクレジットスプレッドについて書いてみます。なお、このスプレッドのことを「ベア・コール・スプレッド」や「バーティカル・ ベア・コール ・スプレッド」というようです。
バーティカル・ベア・コール・スプレッド
前述したとおり、売り買い同枚数のクレジットスプレッドでコールオプションで組むものを「バーティカル・ベア・コール・スプレッド」といいます。
またもおさらいですが、先頭に「バーティカル」とついてるのは、同じ期間(満期日が同じ)のオプションの組み合わせということです。
また、「ベア」というのがついているのは、弱気(=相場が下落すると利益になる)ということを表すものです。
ブルとベア
一般的に、ブルは強気(相場の上昇で稼ぐ)こと、ベアは弱気(相場の下落で稼ぐ)ことを指します。
- Bull(ブル)
雄牛のこと。角を下から上へ突き上げることから上昇相場を指す - Bear(ベア)
クマのこと。前足を上から下へ掻き下ろすことから下落相場を指す
なお、ベア・コール・スプレッドは相場が上昇しても売ったオプションの権利行使価格に届かなければ最終的には利益になります。
アヒルにもわかるように説明すると、以下がコール側で組むクレジットスプレッドの代表ともいえる「バーティカル・ベア・コール・スプレッド」です。
【バーティカル・ベア・コール・スプレッド】
- コールオプション同士
- 期間(満期日)が同じ
- ここまでは上がらないと思われる権利行使価格のコールオプションを売る。
- 更にそれよりも上の権利行使価格のコールオプションを買う。
スプレッドの具体例
それでは例をあげて実際にスプレッドを組んでみます。この時にどのような順で組むのかですが、流星カモのやり方をベースに順を追って説明していきます。
- コールの売り側の権利行使価格を決める。
- コールの買い側の権利行使価格を決める。
- コールの買いを行う。
- コールの売りを行う。
コールの売り側の権利行使価格を決める
まずは売る側のコールオプションの権利行使価格を決めます。
この時、満期日(SQ)まで絶対にここまでは上がらないであろうと考える価格を選定します。
もし、満期日(SQ)まで保持しないつもりであれば、決済する期日を考えて、その期日までに絶対にここまでは上がらないであろうという価格を選定します。(ただしこの場合、相場が上昇していれば損失となる可能性も高いです。)
当然、オプションの価格は現在の日経平均株価に近い権利行使価格のものほど高くなり、利益も大きくなりますが、その権利行使価格まで日経平均株価が上昇するリスクも高くなります。
コールの買い側の権利行使価格を決める
売り側の権利行使価格が決まったら、次は買い側の権利行使価格を決めます。
買い側の権利行使価格は売り側より更に上の価格なので、絶対にここまで上がらないと考えている範囲です。
ここは、利益とリスクの天秤です。売りと買いの権利行使価格を離すほど利益は大きくなりますが、万が一、急な高騰が来た場合には、権利行使価格を離すほど最大損失が大きくなります。
よってなるべく、 売りと買いの権利行使価格は近いものがいいと思います。オプションの権利行使価格の最小値幅は125円ですので、売りと買いの権利行使価格の差を125円にしておけば、最大損失はかならず125,000円以内に収まります。(ただし利益も小さいです)
コールの買いを行う
ベア・コール・スプレッドを組む場合は、コールの買いをまず行います。
なぜ買いから行うかは、売りは損失無限大であり、売りを入れたタイミングで高騰の引き金となる事象が起こると一気に損失がでる可能性があるからです。(例:トランプツイートのポジティブ発言) オプションの値動きは非常に速いです。
また、証拠金についても先に買いをいれておけば少ない証拠金で売りを行うことができます。
買いについては指値でも成行でも構いませんが、必ずそのオプションの板の状況をみてどこで約定しそうかを考えて注文を行います。
ここでは例として日経平均株価が20,500円のときに、指定株価(権利行使価格)が21,250円のコールオプションを175円で買います。
SQ時点での損益図は以下のようになります。

【コールオプション21,250の買い 】
価格(プレミアム):175円
購入時の支払い:175,000円
最大損失となる日経平均株価:21,250円以下
利益が発生する日経平均株価:21,425円超過
コールの売りを行う
コールの買いが約定したらすみやかに売りを行います。
ここでもたもたしていると、買いの価格が変動して最初に想定した差額と変わってしまうので、売り注文は成行で行うか、そのオプションの板の状況をリアルタイムで見て(PCで2画面開くか、PCとスマホを使用)必ずすぐに約定するであろう指値で注文を行います。
ここでは例として日経平均株価が20,500円のときに、指定株価(権利行使価格)が21,100円のコールオプションを210円で売ります。
SQ時点での損益図は以下のようになります。

【コールオプション21,100の売り 】
価格(プレミアム):210円
購入時の受け取り:210,000円
最大利益となる日経平均株価:21,100円以下
損失が発生する日経平均株価:21,310円超過
完成したベア・コール・スプレッド
結果として完成したベア・コール・スプレッドの損益グラフは以下のようになります。

【ベア・コール・スプレッド】
※「C21,250買い+C21,000売り」
購入時の受取り:35,000円
最大利益:35,000円(日経平均株価21,000以下)
損益分岐:0円(日経平均株価 21,135円)
最大損失:-115,000円(日経平均株価21,250以上)
今回の例では値幅を分かりやすく大きくするため、210円のオプションを売っていますが、210円もするコールオプションは日経平均株価が到達する可能性がかなり高いです。
残存期間と個人の相場観・リスク選考によりますが、初心者は通常、ベア・コール・スプレッドでは100円以下のオプションを売るのが安全だと考えます。
メリットとデメリット
コール側で組むクレジットスプレッドの代表でもあるベア・コール・スプレッドのメリットとデメリットを考えてみます。
メリット
メリットとしては以下の通りです。上3つはブル・プット・スプレッドと同じです。
- 損失限定
- 勝率が高い
- 動きが緩やか
- プット側のような急な価格変動が起きにくい
損失限定
損失が限定されるというのは大きなメリットであり、精神的な負担も少ないです。
勝率が高い
もともとオプションの売りは勝率の高い戦略です。スプレッドを組みタイミングの日経平均株価から、売りを行うコールオプションの権利行使価格を離せば離すほど勝率が上がります。9割越えも普通に狙えると思います。
動きが緩やか
日経平均株価が大きく高騰したり下落した場合でも、買っているコールオプションが売っているオプションと逆の動きをして吸収するため、スプレッドとしての損益の動きが非常に緩やかになります。
よって日経平均株価が少し位動いてもほとんど損益が動かないため、ある程度ほったらかし気味にすることができます。あまりハラハラドキドキすることがありません。(もちろん、高騰時は対応が必要です。)
プット側のような急な価格変動が起きにくい
コールオプションは一般的にプットオプションに比較すると価格(プレミアム)が低いです。プット側は急激な大暴落を皆が恐れているために高いと考えられます。すなわち、コール側で組むクレジットスプレッドはプット側よりも急激な価格変動リスクが低いと受け止めることができます。
ここで重要な注意事項を書いておきます。
コール側は確かにプット側の大暴落と同じくらいの大きな値幅の大高騰というのは発生しにくいものだと思います。しかしながら、連騰により短期間で一気に上昇してくることもあります。
まさに2019年9月3日~9月17日は10営業日連続で日経平均株価は上昇し、その間の上昇幅は約1,381円になりました。更に期間を広げてみると 2019年8月27日~9月24日の約1か月間は19営業日でマイナスの日はたったの3日だけで16日はプラス、そしてその間の上げ幅は約1,837円にもなりました。
流星カモはこの2019年9月限(2019年9月13日がSQ日 )の ベア・コール・スプレッド でかなりの損失を出してしまいました。
デメリット
デメリットとしては以下の通りです。これもブル・プット・スプレッドとほぼ同じです。
- 利益が小さい
- 損切りが難しい
- 退屈
利益が小さい
コールオプションは権利行使価格を高くすればするほど受取り価格(プレミアム)が少なくなります。
リスクを考えるとなるべく権利行使価格の高い(仕掛ける時点の日経平均株価から遠い)コールオプションを売りたいのですが、更に上の権利行使価格のプットオプションを買う必要があるので、利益はかなり少ない戦略となります。
損切りが難しい
売ったコールオプションはもともと「ここまで日経平均株価が上がらないであろう」という思いで売りを入れたものなので、ある程度損失が膨らんでも耐えようとしてしまいがちです。
また、万が一、売ったオプションの権利行使価格に到達しても満期日(SQ)でそれ以下であれば問題ないと考えてしまうかもしれません。
更に損失限定なので、最悪でも最大損失額に収まるのでという理由で損切りを行わずにSQ日を迎えるかもしれません。
しかしながら、1度最大損失を受けてしまうと、たいていその額は1度の最大利益の10倍以上になってしまうので取り戻すには大変な時間と労力が必要です。
前述の通り、流星カモはまさしくこれにハマって大きな損を出してしまいました。
2019年9月限ではSQ日の5日前の日経平均株価終値は21,318.42円、そしてSQ値は 21,981.09円です。4日間で662.67円の上昇、 ベア・コール・スプレッドの売り(C21875)を見事にインさせてしまうという失態を犯しました。
SQ前日の終値は21,759.61だったので、116円上がらなければ21,875に到達しないので、到達しないことに賭けて見事に散りました。°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
しかし、そんなレベルまで保持している時点でダメダメです。その前に一度損切りして外側で仕掛けなおしたのにインさせてしまうという超大失態です。
退屈
相場が平穏なときは非常に退屈です。
もともと相場をやるタイプの人間はある程度のリスクを好む性質があるので、退屈すぎるとついリスクを大きくとったり、別の高リスクなものに手を出してしまいます。(コールオプションの裸売りは、プットオプション同様にやめましょう)
最後に
今回はコールオプションでのクレジットスプレッドである「バーティカル・ベア・コール・スプレッド」について書いてみました。
このスプレッドはかなり勝率が高いのですが、利益は低く損失は大きくなるので気を付けないと流星カモのごとく大やけどを食らいます。しかし、しっかりと資金管理・損切りを行えばその高い勝率で利益を積み上げることが可能だと考えます。

9月はベア・コール・スプレッドでかなりやられたグワね・・・

クマの前脚で思い切り引っ掛かれました・・・もう少しで致命傷。

死んだふりして逃げるグワ!

クマに死んだふりは効かないらしいが、死んだふりして何もしないのが正解カモ。コール側で損が膨らんで損切りした場合、既にボラティリティが下がってるので再仕掛けすべきじゃなかったです。(いろいろ反省)
オマケ
「バーティカル・ベア・コール・スプレッド」メモ(自分用)
指標 | 状態 | 備考 |
---|---|---|
デルタ | マイナス | |
ガンマ | マイナス | |
ベガ | マイナス | |
セータ | プラス |
- IVが高い時(目安20以上)かつ、下がりそうなときに仕掛ける
- 出来るだけプット側でも仕掛け、アイアンコンドルにする。
- 満期日まで短いほうがセータで利益が出る。
- 損切ルールを仕掛け時点で設定すべき。
- 損切した場合は、IVをじっくり見直して再考(通常、別の戦略を考えるべき)
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