【初心者】権利行使価格とプレミアムについて(その2)

オプション
この記事は約8分で読めます。
スポンサーリンク

オプション用語:権利行使価格とプレミアムの説明その2

アヒすけ
アヒすけ

前回の続きグワか?

流星カモ
流星カモ

そうだね、前回はちょっと長くなったので。

アヒすけ
アヒすけ

今回もアヒルのすばらしさについて説くグワね!

流星カモ
流星カモ

いや全然ちがうから。

アヒすけ
アヒすけ

なんでグワか!?
アヒルは素晴らしい生き物グワよ!
まだまだ語りつくせない魅力があるグワ!

流星カモ
流星カモ

いやこれオプションの説明記事だから・・・

プレミアムの説明(続き)

前回の記事では、プレミアム(オプションの価格)について、コールオプションとプットオプションでどのように価格がつくのかをアヒルの卵などの例でわかりやすく(ないかもしれませんが)説明しました。

なお、プレミアムの特徴として以下を上げていました。

  • 残存期間(満期までの残り期間)が長いほど高い
  • ボラティリティが高い(相場が荒れている)ほど高い

今回はこれらについて考えます。

まず、オプションのプレミアム(価格)の決まり方ですが、プレミアムは本質的価値と時間的価値との合計額です。ではこの本質的価値と時間的価値とはなんでしょうか。

本質的価値

本質的価値とは現時点でそのものが既に持っている価値のことです。オプションは権利ですので、現時点で権利を使った場合の利益額と言い換えることができます。

日経225オプションでいうと、現時点での日経平均株価と、そのオプションの権利行使価格との差によって、本質的価値がきまります。

例えば、日経平均株価が20,100円の時、権利行使価格20,000円のコールオプションを持っていて、すぐに権利行使できるとすれば、100円(=20,100円 ー 20,000円)の利益が生まれます。この100円が本質的価値です。

コールオプションでは日経平均株価が権利行使価格を上回った場合に本質的価値が発生し、プットオプションでは日経平均株価が権利行使価格を下回った場合に本質的価値が発生します。

本質的価値が発生している状態、または発生している権利行使価格のことをイン・ザ・マネー(ITM)といいます。これについての説明は後述します。

★アヒル向け説明

例えば現時点のアヒルの卵1パックの値段が500円の場合、本質的価値は以下のようになる。

アヒルの卵1パックをXXX円で買える券(コールオプションに該当)の本質的価値
・800円で買える券 = 本質的価値:0円
・500円で買える券 = 本質的価値:0円
・300円で買える券 = 本質的価値:200円

アヒルの卵1パックをXXX円で売れる券(プットオプションに該当)の本質的価値
・800円で売れる券 = 本質的価値:300円
・500円で売れる券 = 本質的価値:0円
・300円で売れる券 = 本質的価値:0円

XXX円で買える券は、XXX円が現時点の値段である500円より安いものだけ価値がある。XXX円で売れる券はXXX円が現時点の値段である500円より高いものだけ価値がある。

時間的価値

時間的価値とは未来に値上がり(または値下がり)するかもしれないという期待に対する価値です。オプションでは期日(満期日)が未来日で決まっていますので、その期日までに値段が上下するかもしれないという期待値です。

日経225オプションでいうと、現時点での日経平均株価とそのオプションの権利行使価格との差と、その時の相場の変動率(荒れ具合)によって、時間的価値がきまります。

例えば、 日経平均株価が20,100円の時、権利行使価格20,300円のコールオプション を持っていて、 期日(満期日) には日経平均株価が20,500円に上がったとすると、このコールオプションは期日には200円(=20,500円 ― 20,300円)の本質的価値を得たことになります。しかし、現時点では日経平均株価が上がるか下がるかわからないので、上がるかもしれないという期待値が時間的価値になります。

時間的価値は期日に近づくほど減少し、期日に到達すると0(ゼロ)になります。

★アヒル向け説明

例えば現時点のアヒルの卵1パックの値段が500円の場合、時間的価値は以下のようになります。

アヒルの卵1パックをXXX円で買える券(コールオプションに該当)のプレミアムが1,000円の場合の、時間的価値
・800円で買える券 = 時間的価値:1,000円
・500円で買える券 = 時間的価値:1,000円
・300円で買える券 = 時間的価値:800円 (本質的価値:200円)

アヒルの卵1パックをXXX円で売れる券(プットオプションに該当)のプレミアムが1,000円の場合の、時間的価値
・800円で売れる券 = 本質的価値:700円(本質的価値:300円)
・500円で売れる券 = 本質的価値:1,000円
・300円で売れる券 = 本質的価値:1,000円

※800円、500円で買える券や、500円、300円で売れる券は現時点ではなんの価値もありません(本質的価値が0円)。なので、プレミアムは全て時間的価値です。

また、この時間的価値は未来への値動きに関する価値ですので、その原資産(日経平均株価)の変動(値動き)が激しいほど未来に値段が大きく動く期待が高くなり、時間的価値は大きくなります。

そしてさらに、未来への値動きに関する価値なので、期日が遠い(残存期間が長い)ほど、時間的価値はおおきくなります。

★アヒル向け説明

例えば現時点のアヒルの卵1パックの値段が500円だとします。

最近のアヒルは親鳥の数は安定していて、アヒルの卵1パックの値段は1日あたり最大で10円しか動かない場合、30日後は最大でも300円(=10円×30日)しか高くなりません。
時間的価値は最大で300円

最近、アヒルの親鳥に伝染病が流行し、アヒルの卵1パックの値段は1日あたり最大で20円ずつ高くなっている場合、30日後は最大で600円(=20円×30日)高くなっているかもしれません。
時間的価値は最大で600円

このように原資産(アヒルの卵)の値動きが激しいほど、時間的価値は大きくなります

上記のアヒルの親鳥に伝染病が流行た例では、40日後は最大で800円(=20円×40日)高くなっているかもしれません。
時間的価値は最大で800円

このように、期日が遠いほど、時間的価値は大きくなります

オプションのプレミアム(価格)は本質的価値と時間的価値との合計額であり、本質的価値は現時点の価値なので期間や相場の値動きは関係ありません。よって、このような時間的価値の特徴が、そのままプレミアムの特徴になります。

権利行使価格の分類

権利行使価格については、その価格が原資産価格(その時点での日経平均株価)に比べてどの位置にあるのかによって、次の3種類に分類されます。

  • イン・ザ・マネー(ITM:In The Money)
  • アット・ザ・マネー(ATM:At The Money)
  • アウト・オブ・ザ・マネー(OTM:Out of The Money)

イン・ザ・マネー(ITM )

既に本質的価値をもっている状態のこと。日経225オプションのでは権利行使価格と日経平均株価の関係が以下に該当する状態のことです。

  • コールオプション:権利行使価格<日経平均株価
  • プットオプション:権利行使価格>日経平均株価

アット・ザ・マネー(ATM )

原資産価格と権利行使価格が同じ状態のこと。 本質的価値はまだ0です。日経225オプションのでは権利行使価格と日経平均株価の関係が以下に該当する状態のことです。

  • コールオプション:権利行使価格=日経平均株価
  • プットオプション:権利行使価格=日経平均株価

アウト・オブ・ザ・マネー(OTM )

本質的価値が0で、権利行使価格が原資産価格の外側(コールオプションでは価格が高い側、プットオプションでは価格が低い側)に存在する状態のこと。日経225オプションのでは権利行使価格と日経平均株価の関係が以下に該当する状態のことです。

  • コールオプション:権利行使価格>日経平均株価
  • プットオプション:権利行使価格<日経平均株価

実際の権利行使価格とプレミアムの例

それでは実際の日経225オプションの権利行使価格とプレミアムがどのようになっているか、実際の証券会社の表示を用いた説明です。

証券会社の日経225オプションの権利行使価格と各オプション価格の図

上の図はSBI証券のパソコン用Web画面の図です。図の各色の枠は流星カモが後で加工して付けたものです。

真ん中の列が権利行使価格、この図を取得したときの日経平均株価は20,400円前後でしたので、125円刻みの権利行使価格では20,375円が中心のアット・ザ・マネー(ATM)です。

権利行使価格の左側がコールオプション、右側がプットオプションで、ピンク枠をつけている「現在値」の列の各上段がプレミアム(オプションの価格)です。

例えば、権利行使価格20,750円のコールオプション(C20,750)のプレミアムは240円、権利行使価格20,000のプットオプション(P20,000)のプレミアムは315円になっています。

緑色の枠で囲った部分がアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)青色の枠で囲った部分がイン・ザ・マネー(ITM)赤色の枠で囲った部分がアット・ザ・マネー(ATM)に該当するオプションです。

イン・ザ・マネーのうち、権利行使価格から遠く離れたものにはプレミアムがついていません。(「–」表示) これは売り買いする人がいなくて売買が成立していないためです。このような権利行使価格をディープ・イン・ザ・マネー(Deep In The Money)と呼びます。

最後に

これにて、権利行使価格とプレミアムの説明はいちおう終わりです。おさらいすると、プレミアムの特徴および権利行使価格との関係は次の通りです。

  • 満期までの期間が長いほど高くなる。
  • 相場が荒れているほど高くなる。
  • アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)では、アット・ザ・マネー(ATM)に近づくほど高くなる。
  • イン・ザ・マネー(ITM)ではアット・ザ・マネー(ATM)から離れるほど高くなるが、離れすぎると値段がつきにくい。

流星カモ
流星カモ

どうだアヒすけ、ちょっとはわかったか?

アヒすけ
アヒすけ

わかったグワ!
でもATMは銀行でお金を下ろす機械じゃなかったグワか?

流星カモ
流星カモ

オプション用語では権利行使価格と原資産価格の差がないことだ。

アヒすけ
アヒすけ

子牛買ったら全資産がなくなったグワか・・!?

流星カモ
流星カモ

・・・(ダメだ、最初からなんも通じてね~)

コメント

タイトルとURLをコピーしました